論文紹介を成功させる4つのポイントから論文選びのコツまで徹底解説!
研究室に配属されると、多くの研究室で論文を読んで発表する論文紹介(ジャーナルクラブ、輪読会)が行われていると思います。
しかし、研究室に配属されたばかりだと、
もうすぐ論文紹介の番が回ってくるけど、何を基準に論文を選べばいいんだろ?
論文紹介で失敗しないようにするには、何を気を付けたらいい?
というように、どうやって論文紹介の準備をしたらいいか分からない人も多いはず。
今回は、論文紹介で紹介する論文の選び方から準備する際のポイントなどをまとめて解説します!
※この記事は3~4分で読めます
🕐2020年05月11日
目次
- 論文紹介が研究室で行われる理由
- 1.論文を読んで勉強させるため
- 2.発表する練習になるため
- 3.質疑応答力を鍛えるため
- 4.論文で得た知識を研究室で共有するため
- 論文紹介までの大まかなスケジュール
- 発表一か月前:紹介する論文を決定
- 発表2~3週間前:論文を読み込む
- 発表1週間前:発表資料作成・発表練習
- 論文紹介に相応しい論文の選びのコツ
- 1.御三家(Nature・Cell・Science)から選ぶ
- 2.今後の研究に役立てそうな論文を選ぶ
- 3.最近発表された論文を選ぶ
- 論文紹介を成功させるためのポイント
- 1.研究背景をしっかり理解しておこう
- 2.図を見るだけで説明できるまで論文を読み込もう
- 3.論文に対する自分の意見を言えるようにしよう
- 4.想定される質問の答えは用意しておこう
- 論文紹介を聞く側としてのポイント
- 1.発表を批判的に聞こう
- 2.質問しまくろう
- まとめ
論文紹介が研究室で行われる理由
そもそも、なんで論文紹介をしないといけないの?論文なんて各自で読めばいいじゃん
というように、論文紹介を行う意味がまず分からないという人のために、多くの研究室で論文紹介が行われている理由を4つご紹介します。
論文紹介の意義を理解すれば、準備する際のモチベーションアップにもなるはずです。
1.論文を読んで勉強させるため
論文を読んで最新の研究を知ることは、研究者の仕事の一つでもあります。
そのため、自分で論文を選んで勉強するトレーニングという理由で論文紹介を実施している研究室が多いです。
また、論文紹介を通して、学生がどれだけ知識を深めているか、どれだけ論文に対して考察できているかを教員が見極め、指導する場であるとも言えます。
2.発表する練習になるため
研究室に入ると、学内発表や学会など、人前で発表する機会が多くなります。論文紹介はこのような発表の練習としての役割もあります。
研究成果の発表にもある程度慣れ必要です。繰り返し発表することで、自然と自分の言葉で説明できるようになってきます。
普段、人前で発表する機会はなかなか無いと思うので、練習の良い機会と思って論文紹介に取り組んでみましょう。
3.質疑応答力を鍛えるため
論文紹介で恐らく一番嫌なのが質疑応答でしょう。もし、質問に答えられなかったら怒られるのではと、恐れている学生も多いはず。
しかし、身内の論文紹介で答えられないのはまだマシです。本番の発表で質疑応答ができないと、教授の顔にも泥を塗ることになり大恥をかきます。
論文紹介は自分の知識の深さを試す機会でもあるので、全ての質問を切り抜けられるよう普段からよく勉強しておきましょう。
4.論文で得た知識を研究室で共有するため
論文は様々な科学雑誌から発表されているので、1人で全ての論文を読むのは時間的に難しいです。
そのため、論文紹介は論文で得た知識を研究室全体で共有する場であるとも言えます。
1人で読める論文の数は限界がありますが、研究室全体で知識を共有すれば勉強効率が格段に上がります。
最新情報を知っているか知らないかは、研究において重要なことなので、ラボメンバーの論文紹介も真剣に聞きましょう。
論文紹介までの大まかなスケジュール
論文紹介の意義が分かったところで、次は論文紹介までの準備スケジュールを紹介します。
読む論文のボリュームなどで準備期間も変わってくるので、あくまで一例として参考にしてみて下さい。
発表一か月前:紹介する論文を決定
論文紹介で発表する論文は、大体1か月前に決めておくと良いでしょう。
論文の選び方が分からない学部生などは、先輩などにおすすめの論文を紹介してもらうのもありです。
また、候補を3つくらい用意しておき、どれが発表するのに相応しいかを指導教員に意見をもらっておくと、安心して論文紹介に臨めます。
発表2~3週間前:論文を読み込む
発表する論文が決まったら、早速論文を読み込みましょう。
毎日2~3時間、2週間程度読み込めば十分内容を理解できるはずです。
どうしても図の意味が分からなかったりする場合は、先輩に質問して解決しましょう。
発表1週間前:発表資料作成・発表練習
発表1週間前になったら発表資料を作り始めましょう。
最初のうちは、先輩の過去の発表資料を参考にして、分かりやすい資料の作り方を勉強すると良いでしょう
また、作った資料を基に発表する練習もしましょう。練習しているうちに、資料や発表のセリフに改善点が見つかってきます。
余裕があるなら、先輩や同期に一度発表を聞いてもらうのも良いでしょう。
論文紹介に相応しい論文の選びのコツ
論文紹介で一番の悩みどころは、どの論文を発表するかだと思います。
そこで、論文紹介に相応しい論文選びのコツを3つ紹介しますので、論文を選ぶ際の参考にしてみてください。
1.御三家(Nature・Cell・Science)から選ぶ
論文紹介で発表する論文は御三家(Nature・Cell・Science)から選ぶのが一番無難です。
内容の質と量が担保されており、自分だけでなく研究室全体にも勉強になります。
下手にマイナーな雑誌から論文を選ぶと
なんでこの雑誌から選んだの?
と突っ込まれる可能性大です。
なので、よほどの理由が無い限り御三家、最低でも御三家の姉妹誌から論文を選びましょう。
2.今後の研究に役立てそうな論文を選ぶ
いくら自分の興味のある論文でも、自分の研究室に役に立たない論文を発表しても意味がありません。
で、結局君はこの論文で何を伝えたかったの?
と言われてしまうのが目に見えています。
なので、自分の研究内容と同じ領域で、今後の研究の参考にできるような論文を選ぶのも一つのポイントです。
3.最近発表された論文を選ぶ
論文紹介は最新の知識を共有する場でもあるので、古い論文を発表するのはあまりよくありません。
古い論文だと、
- ・既に読んでいる人がいる
- ・情報が古くなっている
といった可能性があるからです。
そのため、論文紹介の論文は、発表されてから数か月以内のものを選ぶようにしましょう。
論文紹介を成功させるためのポイント
論文紹介はピリピリした雰囲気の研究室も多いはず。怒られたり、やり直しになったりすることもあるでしょう。
この章では、論文紹介を成功させるために、気を付けておくポイントを紹介したいと思います。このポイントさえ押さえておけば、必ず切り抜けられるはずです。
1.研究背景をしっかり理解しておこう
論文紹介に限らず、論文を読む際は必ず研究背景をしっかり理解しておきましょう。
研究背景を理解しておかないと、
- ・なぜこの論文著者はこの研究に取り組んだのか
- ・この論文の意義は何なのか
- ・この論文から、何が解決したのか
- ・この論文から、どのように研究を展開できるのか
といった質問に答えられなくなってしまいます。
研究背景は論文のイントロ部分に記述されているはずなので、紹介されている参考文献の論文には目を通しておきましょう。
また、論文著者の経歴もチェックしておくと、研究の歴史をつかむ参考になります。
2.図を見るだけで説明できるまで論文を読み込もう
論文は文中の解説無しで、図の説明ができるようになるまで読み込みましょう。そうすれば、実際に発表する際に
あれ、この図ってどういう意味だっけ?
となることを防げます。
また、図だけで論文を追えるようになると、他の論文を読むときも図だけで大体の内容が分かってくるようになります。
そうすると、論文を読むスピードが格段に上がるので、本文の解説だけでなく図を読み取る力も身に付けましょう。
3.論文に対する自分の意見を言えるようにしよう
論文の内容をただ発表するだけでは、100点満点の論文紹介とは言えません。
- ・追加でこういった実験をすればもっと正確なデータを得られると思う
- ・この論文の主張は、こういった点でまだ信頼性に欠ける
- ・この論文の手法を自分のテーマに応用できるのではないか
など、論文に対する自分の意見を言えるようにしましょう。
そうすれば、教授も
うん、しっかり論文読んでるな!
と評価してくれるはずです。
4.想定される質問の答えは用意しておこう
質疑応答はやはり怖いですよね。なので、想定される質問を考え、その答えをあらかじめ用意しておくことをおすすめします。
答えを用意しておけば精神的にも余裕ができますし、どれだけ自分が論文を理解しているかの確認にもなります。
ただし、相当読み込まないと質問を想定することはできないので、図だけで説明できるレベルまでしっかり論文を読み込みましょう。
論文紹介を聞く側としてのポイント
論文紹介は発表する回数より、聞く回数のほうが多いはず。最後に、論文紹介を聞く側としてのポイントを2つ紹介します。
論文紹介だけでなく、学会やポスター発表を聞くときにも重要なポイントなので、是非参考にしてみて下さい。
1.発表を批判的に聞こう
研究者には
- ・このデータは正しいのだろうか
- ・このデータから、本当にこの結論は導き出されるのだろうか
というように、目の前のデータを批判的に見る能力が必要です。
なので、論文紹介も批判的に聞くように心がけましょう。また、批判的に論文を読む力を身に付けると、良い論文と悪い論文の区別がつくようになってきます。
最初は慣れないと思いますが、場数をこなせばできるようになるので、常日頃から批判的に聞くよう意識してみましょう。
2.質問しまくろう
分からないことがあったら、何でも質問するようにしましょう。自分が疑問に思っていることは、皆も疑問に思っている可能性が高いです。
こんな事聞くと馬鹿にされるかも...
という心配は無用です。新入生や若い学年なら、初歩的なことを聞いても許されます
逆に何も質問しないのが、一番ダメなパターンです。批判的に発表を聞いていれば、質問や確認したいことが必ず出てくるはず。
質問が無いのは、真剣に発表を聞いていないということなので、必ず1回は質問するようにしましょう。
まとめ
論文紹介は準備に時間がかかるし、発表も大変ですが、真剣に取り組めば必ずレベルアップにつながります。
是非この記事を参考に、論文紹介を成功させて実力も身に付けて下さい!